2008/09/29

鬼伝承 003


前歩く女性はいかにも今時の大学生を感じさせる。歩く度に揺れる長い髪はブラウン色に染められているのだろうか。暗がりの闇の中ではそれを確認することですら神業と成し、すぐに確認することは容易ではない。しかしその背後にあるく鬼は簡単に確認することができる。どうやら次の獲物を見つけた様子でギラリと眼を不気味に光らせる。電灯は少なく人の気配も存在しない。これは好機と即座に判断。手に持っている釘バットをさらに強い力で握り締める。これは快楽の一種でありまた、その快楽は己の自己本能すら呼び出させる。本当はこんなバットなど持たなくても人を殺せるが、そんな素手で人を殺める行為を行うことを純粋に嫌っていた。いや、違うな。憧れとも言える位置づけを呈しそれに触れ難いとせ思うようになり、終には道具という手段を取らざるを得なかった。また利便性も踏まえて足取りを消すというような即時性すら見出せる。もちろん、皆無とはいかないもののある程度なら警察の捜査からは外れるだろう。もちろん警察が二~三人来たところで自分を制止させることなんてできない。そう、自分を止めることのできる存在は自分ともう一人。知ってるのは未だにそれだけだ。そろそろヤッテもいいだろうか。うん、頃合。公園付近に差し掛かり前方を歩く女性は少し後方を気にするようになった。そりゃそうさ、べったりとストーカーざる行為を先ほどから執念深く続けているのだからね。公園にさしかかりより一歩前に出た。もちろん、その一歩は彼女のものではない。
「誰っ!」
ここでただのストーカーなら何か意味の不明な言葉を発しながら彼女を追いかけるのだろうかとテレビを見た知識程度で思考する。っまぁいいんじゃないのかと結論付けて言葉を発することを決意。
「はぁ~い。どうも。お姉さん今お一人?」
遊び心満載のくどき文句。これで不振がる人はいないと思ったが、世界は私を拒み続ける。
「何あなた。その右手に持ってるの」
ああ、暗いのに洞察力がいいこと。一応公園前には大きい街灯も存在しておりかなり明るい。そりゃこんな小さな私の手にもった大きな釘うぃずバットでもあれば不信がるか。
「お察しのとおり釘付いたバットだよ。見るの初めて?」
今時漫画でも見ない釘の付いた木のバットは存外にもぼこぼこに凹んでおり返り血で黒光りしていた。ああ、こんな事言うと何だか私の事悟られるな。まぁ、いいや。私の一言で彼女は一気に青ざめる。きっと今起こっている連続殺人事件についてのことを思い出したのだろう。そりゃ大きな事件らしいし結構ニュースでも取り上げられている。どこかの馬鹿な評論家がベクトルの違う怒りの矛先を無責任に飛ばしているだろう。それをニュース事なんて特にスルーしたいと思っている無関心なニュースキャスターが無駄に関心でもあるかのように返答するのはもはや、いつでも見られる光景の一つになった。
「あなた・・・もしかして例の」
口をにやりとして私は、
「正解。今起こってる連続犯はこの私。模倣犯すら出ていないので今のところ七人が私の葬った数だよ」
「なんでこんな」
よく、まぁ次から次に疑問が生じるものだと関心しつつも丁重にその返答をする。
「そうだね。特に急いでるわけじゃないから御話でもしようl」
するとそれみよがしに彼女は走りぬけようとした。それを回り込むことは箸を持つことすら簡単で当然だった。只の人間様にこの私は止められないんよ。
「っな!」
「まぁまぁ、逃げるのは勝手な話だけどそんな行為するってことはわかってるよね。折角こっちから話しようとか言ってるのに無視するなんて信じられない」
信じられないのはあなたよと目で訴えかける彼女。まぁ、そりゃそうでしょうね。それが常人の判断。まぁ、そうじゃない私はさっぱりだけど。
「ねぇーなんで私がこんな事してるのか聞きたくない」
「そんなこと聞きたくない」
きっぱりとさっぱりと拒絶。そんな意思特に見たいとは思わなかったのにね。残念。
「まーそんな事言わんでね。聞いてくださいよ。今日で八人目になるんだけどもこの惨劇はまだ終わらないのよ。面倒な事に。えーと何件だっけメモ帳っと。あれ…今日忘れちゃったカナ。まぁ、いいや。ところで、目的?それは難しいな。言葉で表現するっていうのが。正直言葉よりも意思で感じ取ってっていう場面あるじゃない?それと同じ感じよ」相手はしれっとした態度で、私の言葉を聞いていた。むしろ流していたとか無視していたとか解釈は人によって様々。
「まぁ、結論から言えばあなたは死ぬわ。私が殺します」
「・・・」
無言。そりゃ無言にでもなりたくなる年頃だろう。えっ違う?
「・・・ない」
「えっ?」
小言だったので思わず聞き返してしまった。
「死にたくない」
そう言いながら彼女は徐に持っていた鞄を私に投げてきた。投げるというよりも叩き付けるの方が表現は正しいのかもしれない。それを後方に跳び避ける。
「いい根性じゃない」
私は苛立ちを隠しつつ攻撃してきたという事実に遺憾を表す。
「わかったわ。この世にありえないと思うくらいの恐怖の後に祭りを施してあげる」


ストーカーに付きまとわれたその女性は数時間後、肉の塊となり捨てられていたところ、その付近を歩いていた住人によって発見された。あまりにも状況が酷く周りにはいろいろなものが飛び散っていたので鑑識などのプロフェッショナルでも目を覆いたくなるような状況だったと知るのは、第一発見者の男性とその捜査に準じた者達だけだった。
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2008/07/19

鬼伝承 002


伝承とか言っても結構種類・系統が分かれていて分類するにも細かな要因を探らなくてはいけなくて正直時間がかかる。だが、そこにはやはり知りたいという欲望が存在するからこそやっていけるのだと思う。伝承を詠ってるがこのサークルは、伝奇や都市伝説など、『正直役には立たないけどおもしろいもの』を探求することを目的とされたサークルであった。初年度の生徒などは正直みる先輩の魅力に引きつられて入るのだが、中身が地味だといってすぐやめる。または来なくなるの二者択一だった。こっちからは選べないけど。
その中でも俺は只何となくで入ってるやつらとは違う一つの理由が存在する。他言無用とは言うけれど、他言したところで馬鹿にされるのがオチで只言わないだけ。それが理由だ。俺の探している鬼の情報。それこそがこのサークルに入った一番の理由だ。ただ其処に彼女がいた。それだけだった。正直彼女はすごい。言葉で表現し難いが、何でもこなすエキスパートではある。正直あの口調や性格を直せば、愛し尽くしてやるのだが、それは問題から外れているので、あえてしない。まぁ、簡単にはそんな情報掴めるはずもないが、だからこそ俺はあのサークルを止めずにはいる。
「にしても、いきなり情報をさがしてこいって家のお姫様はさすが漠然と物事を捉えていらっしゃる」
価値観や考え方も常人とは違うらしく、きっとそこは天才気質なのだろうということで手を打っておくことにした。
そろそろ、みる先輩の本名でも言っといた方がいいのかな?本名:菅谷美瑠(すがたにみりゅう)。三回か四回生っぽい雰囲気だが正直わからない。たぶん、年上だろうということくらいしか。会ってもう半年位になるが、彼女はいつも忙しそうにしている。しかも一体何に忙しいのか全くわからない。まぁ、後ろからデータを見てもちんぷんかんぷんな内容ばかりで、俺の頭は常に卵のはいった電子レンジ状態になっているのである。うあ、恐ろしいというかオゾマシイ比喩だな。見事に癒着してやると言わんばかりに。関係ないけど。


俺はそのまま大学を出て適当に町に繰り出すことにした。特に大学にいても楽しいこと
など発生するはずもなく、まだ町にでも繰り出している方が変な人がいっぱいでどうしようか困っちゃうな。いや、こんな事考えている自分が一番変なのだがそれは敢えてきれいに掃除した溝にでも再度封印しておくことにする。
といっても何も目的なしに歩いているだけでは何もない日常を投射しているだけであってこの物語を読んでいる読者の皆様に失礼なわけであり、まぁ俺の方でも何か策を練ることにする。まぁ、そうだな。図書館にでも向かってみることに決意。市の図書館は存外にも広く想像以上の本が今か今かと待ち遠しく待っていらっしゃる。しかし、その殆どが常人が見るようなものでもないような古びた古書だったりもする。まぁ、俺くらい変人レベルがある一定まで達しているとそういうものに恋焦がれるようになったりもする。ああ、そこは本当さ。町の中央にあり、ここからでも電車で二駅ほどの場所。駅からも徒歩ですぐと立地条件も大変よい。コンビニで軽食を買いそのまま大学の最寄り駅で電車を待つ。その時間を利用し、少々空腹になった腹を満たすために軽食をかじる。電車は結構な郊外にありそれなりにしか本数がないのが欠点であり、実はバイクの方が早い。しかし、そんな原油高騰のこの時代に一々乗っていられるはずもなく、しょうがなしの定期が存在する電車というネットワークでの移動を俺は推奨していた。そうこうしている内に電車がやってきて乗り込む時間帯がまた昼過ぎでがらりと空いていた。こんな電気の無駄遣いしやがってと鉄道会社に文句でも言いたくなるが、それこそこの電車が来なければ俺はこの駅で待ちぼうけを喰らっていたのでそんなことは言えない。二駅ということもあり特に座らずにドア付近で待機。いや、この年にもなるとおじいちゃんは一々座るだけで腰が痛いのよ。さすがに二駅じゃ景色を楽しんでいる間に到着。ちょっとした小旅行の雰囲気ですら楽しめないままに図書館に向かう。
「嘉保さん」
そこには図書館で働いている顔見知りの女性がいた。
「神畑さんこんにちは」
「はい、こんにちは」
彼女の名前は神畑歴代。この図書館で働き出して数年になるというこの図書館の管理者であり、結構無理を聞いてくれるお得意さまであったりする。俺はいつも伝承について何かを調べるとき二つの方法を主に使っている。一つはとりあえずおいておくことにして、そのもうひとつというのが図書館での古書の閲覧である。さすがに古書だけあっておもしろい事柄がたくさん載っており未だによく理解されていないオカルトめいたものなど五萬と記載されている。さすがにそれらを理解し読み解くにはそれなりの労力を費やすことが必須になり、また古書などは貸し出し厳禁なものであり家での作業はできない。そうなれば必然的にこの図書館で調べるしかないのであった。正直俺としては飲料水の持込だけは許してほしかった。
「今日も古書の探索ですか」
関心のあるような笑みでいつも彼女はこういう。
「ええ、サークルの部長がまたいつもので」
俺はたじたじになりながらいつもの説明。正直入学して以来ずっとこき使わせられこの図書館を利用するのはもう何回目になるのかわからない。まぁ、好きでこういうことをしているので問題はなく、いつも何か面白いことを発見するとすごい褒められる。彼女に褒められると男は誰でも昇天しそうである。おおよそ嘘です。
「それにしても人少ないですね」
「ええ、そうね。さすがに平日のこの時間だとおじいちゃんやらが新聞を確認したりとかだけだから何もしなくていいわよ」
と社会人としては駄目な発現をする。
「まぁ、そのおかげでこういった本を好きなだけ読むことができるのだけれど」
そういって文庫本を差し出す。タイトルは「初心者でもわかる心理学についての考え方」という内容。
「心理学について興味でもあるんですか?」
質問してみる。まぁ、興味がなければこういう本は読まないのは当然の話だが。
「そうね。心理学全般とまではいかないけれど犯罪心理学について少し興味があってね」
てへへとかわいらしく笑う年上の女性ほど魅力を感じずにはいられない。もちろん彼女の端正な顔にあいまってすごく心惹かれるものはあるが、今犯罪心理とかっていってましたよね。うん、と俺はそっちの方が興味あるかもです。
「確かに分厚い参考書よりもそういった軽めの文庫からの方が入りやすいですね」
「そうね。学術書はいろいろと難しいことや専門語も多用されてるから一般人は理解しがたいわね。その分こっちの方が楽でいいわ」
「それで一つ聞きたいんですけど、何故犯罪心理学に興味を」
「そう、そう。この町で最近物騒な事件が起こってるじゃない」
「ああ、例の事件ですね」
例の事件。深夜に起こる連続撲殺事件。この町でも普通に起こってる事件でありテレビのニュースでさえ取り合えげられている見事な程の殺人事件。見境なく夜になると釘バットを持った人物(まだ男か女という断定は報道はされてはいない)がこれでもかというほどに被害者の人物に向かって殴りつけ無残に殺すという事件が多発しいる。中々の残虐さに俺としても感嘆の敬意を評したいが道具を使うのは卑怯としかいえない。やるなら拳でという文化はどこに言ってしまったのだろうか。
「そうそう、その事件でなんで犯人はそこまで殴りつけて殺すのかという疑問が私の中で生じたのよ」
「まぁ、確かにそうですね。見ず知らずの人間をそこまで殴りつけるというのは腑に落ちないですね。考えられるなら一種の殺人快楽者である可能性が一番だと思いますけど」
「そうね。でも本当にそうかしら」
「本当に?」
「ええ、何か目的があるのかもしれない」
「さすがにそれはないんじゃないですか。被害者となったのはこれまでに七人。男性、女性、子供、老人、職業何一つ関連したものがない」
「ええ、そうね。肉体的に弱者のものから格闘技をしていたっていう大柄な男までいるのですし」
「それらをなんの目的もなくというと殺人を行うという快楽の行動の一種としか俺は考えれない」
まぁ、俺の脳みそでいくら考えても何の知恵が出るというわけはない。一応伝承についての知識なら人一倍というだけしかなく後の思考能力などは平凡としか言えない。
「私が言いたいのは本当にそうなのかということ。一つ根拠があるのは殺人快楽者の場合は大体が何かの必然性を伴うということ。つまりは、一種の性癖など個人特有の思考回路の順序だてがあるということなのよ」
「ああ、そうか。確かにだれでもいいなら無差別殺人であり、特にそういう容疑者なら快楽という文字は一切関係ないだろうな。でもわざわざ一人ずつというのが疑問になるのだが」
「そうね。無差別ならある一定の数を殺した方が効率的だしね。それに日にちだって疎ら。何かの規則性も考えたけど一切の関連性を見つけることはできなかったわ」
「あなたって暇人ですね」
「まぁ、基本的に返却された本を元の棚に戻すのとこの施設の管理業務だけだしね。それに私一人でやっているというわけではないのだし」
ごもっともで。だからいろいろと気になったという事件について調べてるわけだな。
「まぁ、またわかり次第何か教えてくださいよ。俺は事件などの現在進行形で起こっているものは専門ではないので」
「そうね。キミは過去からの使者ですものね」
皮肉っぽい言い方で俺に向かって言う。ああ、そうだね。この図書館では大体は俺のもの置き場みたいなものだ。ただ私物というわけではなく市営のものというものが釈然としないが、これだけの価値の物をここにおいて置くのが間違っているだろう。どうせ読む人間・読める人間は希少価値の絶滅危惧種のような存在だが。自分含めず。
「それじゃ、俺はいつもの調べ物しますんで。正直また時間おすかもしれないので」
「はいはい。もういつものことで慣れたわ。どうせ私は帰っても暇なのでお付き合いいたしますわ若者に」
自分だってそんなに年齢変わらないだろうにと思いながらも何だかんだで閉館してからも付き合ってくれるのはありがたい。これでほとんど時間をきにかけることもならなくて済む。彼女はこの近所らしく、大体夜半になると俺が送っていくというのがいつもの慣わしというか行事。ああ、これで普通に家に入ってお茶でもという一言すらもないままに現在を生きている。赤ふちのめがねが似合う少々ちんまりとした年上という属性も正直捨てがたいのではないかと改めて実感しながら古書コーナーに向かった。


それにしても何か見つけてこいとはいいかげんな言い草であり、何かを調べて来いといわれたほうが何倍もましである。そろそろ物語りも進むだろうなと思わせておき実は何もまだ始まっていないというのがこの物語であり、俺はどこから手をつければいいのかさっぱりわからなかった。とりあえず図書館の片隅にあるパソコンを利用して何か調べようかと思う。検索する言葉を入れてクリック。しかし、返答は虚しく、
「ページを開けません・・・か」
さすがに公共の場にあるというパソコンらしくアダルトなサイトにはいけないような処置が施してあった。もしここで俺が天才ハッカーやそれなりにパソコンを使える人ならプログラムをいじくりそういうページを出すことも容易ではあるが、そこは凡人。特に問題なく開くことはできなかった。いや、そこでアダルトページを開こうと考える俺も俺だが。いや、男なら当然の義務だと。まぁ、心を改め伝承・神話などとりあえずは大まかなワードを検索してみる。しかし、検索数があまりにも多いため、この町についてのワードを入れる。
「まぁ、ある程度は出るか」
といろいろ検索して俺はみる先輩に言われた調査を開始した。

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2008/06/07

鬼伝承001

鬼伝承

鬼たる伝承が何故昔話で多く語り継がれるのか。
それを正直見つけることはできるかもしれない。
でもそれを見つけたくない。

人は鬼であり、また鬼も人だから。
故に鬼は誰もがそうであり、人は同じくしてそうである。
人が罪を犯そうとするなら内面からその鬼が出てきて世の中を脅かす。

そう言ったとしても正直、この事すらも伝承で、鬼なんて存在はしない。そう否定されてもおかしくはない。
まぁ、肯定する理由も特に無いので、そこはなんの屁理屈すらも通らない。
これから話すのは俺の経験。

鬼にコダワルから世に見えた、鬼の物語。


じゃなかったらどんなにいいのかな。







「君には探究心というものが無いの?」
探究心ね。そんなものどこかの溝川に落っことして以来見たことが無いよ。正直、家に埋もれている自信も無い。
「このサークルはどういった諸事で入ったの?」
「先輩は何だと思います?」
疑問系を疑問で返すとは何たる罪な男なんだ俺は。
「そんなの決まってるでしょ。理由は二つ」
正解だと思った肯定の鍵。もしくは、間違いへの恐怖のための逃げ道。
「一つ目は私の美貌の賜物」
エゴだ!肯定でも逃げ道でもないそんな超自我こそ溝へと捨ててしまいなさい。あ、でも許可無いと今のご時勢何でも犯罪になるからそこの所正直各自治体に宜しく。
「もう一つは?」
テンションがた落ちだが聞かずにはいられない衝動に駆られた俺はそう問うた。
「あれ・・・するー?まぁ、いいわ。もう一つは伝承が気になるから」
あー正直それっぽい気がしてきたけど、なんかベクトル変えたいんで、回答変えていいですか?いいですよね。テストでやるとそんなの駄目だけど、俺の思考の一部を改定&拡張くらい造作もないわけで。はい、完了っと。
「んじゃぁ、美貌辺りで」
「美貌ねっと」
何かの用紙に書き出す。ああ、何か大学側のアンケートか。そんなの出したら絶対却下されるぞ。
「みる先輩。てか他に人いないんですか」
「いるように見えたら眼科に行くのがいいんじゃない?それともアッチ?私は霊感ないからさっぱりわからないけどね」
俺もだよ。ああ、奇遇だね。そういうところは心が先輩と繋がっているんだね。
「あーはいはい。説明しとくけどほとんどが幽霊部員。正直そこまで来てる人いないんだけどさ。何となくで入ってそのままがこのサークルの伝統なんでスーよ」
すげぇ斬新な伝統だな。そんな感じだったら伝統工芸品も正直若者任せにしなくてもやっていけるのに。
「んじゃ、今日は俺はこれで」
「待ちなさい」
回り込まれて逃げれなかった。
「まだ話は終わってないわよ。というか本題は何も始まっちゃいないわ」
「ああ、正直始めなくてもいいんでは?というのが切の願い」
「何が願いですか。もう、嘉保君は実は普通の人なんだから幽霊さんといっしょな思考回路といっしょじゃ困るわよ」
俺も困るな~。やつらは霊的な思考回路してんだよな。全く名に考えてるか正直わからん。
「とりあえず文化祭に備えてうちでもいろいろと出さなくてはいけないのよ」

うち=近代伝承研究部。略して・・・略さなくても良いや。正直二度と出ることはないだろう。
「でも、二人ですよ。それに伝承って今までのなんか資料とか出しとけば良いんじゃないですか」
「それじゃ困るのよ。どれだけ毎回チェックされてるか。そんな手抜きが発見された日にはもうサークルは終わりだわ」
ああ、短かったな。でも俺正直良かったよ。このサークルに出会えて。そしてみる先輩に出会えて。でも携帯のアドレス教えてもらってないな。どうでもいいけど
「む~もう、まだ終わってないよ。その王権復古のためどうにかしてこれを乗り切る。そのためにはしぃ~ちゃんの力が必要なんだよ」
しぃ~ちゃんは俺の名前。普通に名乗っても正直面白くないので、俺はこのままで通す。それが自由人である俺のポリシーから来てることに誰が気付くであろう。いや、誰も気付かない。俺も正直気付かないし、気付きたくもない。
「わかりました。とりあえず資料。それも最近の事柄、情報を探ればいいんですね」
「わかってるんじゃん。そーよ。んじゃよろしく」
「あれ?先輩は・・・」
「私は、もちろん現場を歩くわ」
現場?俺の知らない身近なところで殺人でも起こったのか?それなら、恐怖の毎日を用意周到に頭のすみっこにおいて生活を送らなければならない。ああ、こんな平穏なところで事件が起こってるなんて思わなかった・・・。ってそういう発現ですら正直疑問に思う。平穏だから何か起こるのでは?と。
「事件は会議室で起こってるんじゃない・・・現場で・・・っむがぁもごむご」
とりあえず先輩の口元を封じ、何かの権利を守ることに成功する。ああ、この人見かけと反対の思考・行動だから厄介だ。まぁ、妹役様ほどじゃないが。
「わかりました。何か図書館にでも行って調べることにします」
「図書館って今時の時事ネタでも揃ってるのかしら」
う~ん、どうなんだろう。でも情報を得るなら図書館がセロリー。いや、せおりーだからのツッコミは案外欲しいところです。
「まぁ、何かあれば連絡宜しく!」
「ってどうやって連絡を」
「ああ、そうね」
きた。これはアドレスゲットの自然の流れ。誰もこの流れを崩すことはできない。しかし、この人はそれを容易く見事に、容易に裏切ってくれる。どうせ携帯持ってないオチくらいしかないような気がするが。
「ひゃい、これ」
伝書鳩とか持ち歩いてる人いないよ。しかも最初の出す時の声があまったるくてかわいいとか関係ないから。
「冗談冗談。とりあえずは私はほとんどここにいるから」
サークル棟の一番奥。そこに近代伝承研究部は存在する。あっさり二度目の登場に俺は、拍手喝采を胸の中で贈る。
「現場に出るんじゃなかったんですか」
正直この人は『元気+矛盾』で、できるんだろうなぁ。
「まぁ、そうそう伝承なんて転がってないからね」
あっさり認めた!
「んじゃ宜しく!」
一方的に扉を閉められ、俺は棟を後にする。ん~あの人を攻略するにはどれくらいの時間が必要なのかなとか思う。関係ないけど。いや、少しはあるか。
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